ねずみのすもう

精神科医のねずみ

ツイッター考

早いものでツイッターを初めて2年余りが過ぎた。

当初のツイートを見てみると、新人特有の生真面目さと鯱張った様子、つぶやいても何の反応もない虚しさ、なんとかフォロワーを増やそうとしていた様子がうかがえてほほえましい。ここいらで自らの2年余りのツイッターライフを振り返ってみようと思う。

 

①始めた動機

込み入った私事に絡んでくるので、くわしくは書けない。精神科医でありながら、開始当時のわたしはかなり「病んでいた」(もともとパーソナリティ障害の気があるのは否定しない)。病んだ魂が、同じくほのかに病める魂との交流を求めてネットの草むらに分けいったのである。それ以上でも、それ以下でもない。

 

②はじめてのクソリプ体験


当初は呟いてもあまり反応もなく、フォロワーもつかなかった。有名なアルファ垢に絡みにいっては無視されたりしながらも、なんとなく同行の士を見つけてはぼちぼち楽しんでいた。そんな最中、例の「日大アメフト部タックル事件」が起きた。

 

体育会にちょろっと所属していたことがある身としてはなかなか複雑な気分にさせられる事件である。体育会というのは、傍から眺める分には儀礼を重んじ「ウっス!」みたいな、気は荒いけど根はいい奴ら、というイメージを抱かれやすい。

実際、そういう人材も多いのだが、過酷な練習の日々を送るうちに心も荒みやすかったりする。青春、歓喜!みたいなイメージとは裏腹に、人間のグロテスクさが析出しやすい場面もあったりするのだ。

 

そういった個人的な体験をツイートしたら、「それはアンタが万年補欠だったからじゃないですかねぇ。プレーの上手いやつは青春を楽しんでましたよ。雑魚乙ww」みたいなリプがついた。

いや、弱小チームとはいえレギュラーだったし、レギュラー獲得に至るまでのエグさを書いていたのに日本語読めないのかなこの人…と思いつつ、アイコンや平素のツイート内容を掘ってみたら、「かつて高校くらいまではとある競技で県選抜くらいで鳴らしたが、その後の社会人生活で運動神経の神通力もいつしか失われワンノブゼムになってしまい、ツイッターで部活ヒエラルキー低位だと見なした相手に罵声を浴びせるのが唯一の趣味」...みたいな、グラウンドで歓声を浴びていた17歳くらいが人生のピークでそこから永遠に時が止まってるタイプの寂しい中年男性のようであった。

たった140字の文章の趣旨すら読解できないあたりに彼の凋落の原因がありそうだったが、そこにはこれ以上触れないこととして、これが噂に聞く「クソリプ」かとちょっと暗然とした。ツイッターの暗部の「とば口」に立った感覚がたしかにあった。

 

③バズる

それでもテキトーに呟いているうちにいつしかフォロワーが1000人を超え、そのうちバズり始めた。何がバズるかは予測ができない。製薬会社の勉強会を終えてスマホを開けたら通知が大変なことになっていて、何じゃこりゃ!?と戸惑ったことが数回あった。

バズってみて分かったのが、リツイートが1000を超えたあたりからこちらの文章を誤読ないし超越的読解をしているとしか思えないリプが増えてくる。ツイート内容に与野党の話は一文字も入っていないにも関わらず、なぜかわたしをネトウヨや安部首相信者だと勝手に想定したうえで罵詈雑言を浴びせてくる人が出てきた。知らんがな。しかも、バズった内容がほかのサイトでまとめられ、5chにスレッドまで立って、勝手な議論が始まっていることもあった。ほえー。ひとつの流言が尾ひれはひれをつけて広まってゆくさまが可視化されるのは興味深くもあり、恐ろしくもあった。

 

④5chで叩かれる

フォロワーが3000を突破して、やや目立ち始めた頃。

チー太郎とかいうカスゴミアカウントがキモすぎる、という書き込みが現れた。現在に至るまで、とても品行方正とはいえないスタイルでツイートしてきたのは否定しないし、不快に思う人がいるのは当然だと思う。実際われながらキモいと思うのだが、本人が反省してるんだからあんまりひどいこと書かないでほしい。そういえば最近は書かれてない。

 

⑤いろいろあった

自業自得とはいえ色々な方面から石が飛んできた。安部信者の烙印を押されたかと思えば、ネトウヨからなぜか左翼扱いを受けたり、最近では女性の敵みたいなことを言われてしまった。たしかに女性にあんまり優しくないけど一応既婚なんですが...。それにしても、ちょっとへんなことを言っていてみんなが遠巻きに眺めているような人をわざわざ批判してしまい、ものすごく怒られたり不利益を被る、というのは幼稚園くらいから変わっていない特性なので、三つ子の魂とはよくいったものである。

 

⑥結び

いつしかフォロワーさんが1万3千くらいをこえたが、日常生活にとくに変わりはない。ツイッターも長くやっていると結局はリアルの自身に近似してゆくので、ネットで何者かになれる、というのは幻想なのだろう。ツイッターは匿名性ゆえに、インスタやfbに比べて本音が出やすい面はあるが、ウケ狙いで発言が先鋭化したり嘘松も多いため、けっきょくはこれまた一つのフィクションだと思っておいた方が無難である。リアルはリアルでしか把握できず、有益な情報はこれまたリアルの知人がもたらすことが多い。ねずみいじめないでね。