ねずみのすもう

精神科医のねずみ

2021-01-01から1年間の記事一覧

保護室

精神科病院に入院するとき、興奮が強かったり病状が不安定なとき「刺激を避け」「休息してもらう」ために入るのが保護室という。一般床とは別のがっちりした個室である。万が一壁を叩いても衝撃は吸収され事故やケガを防ぎ、ある程度の防音効果で聴覚が余計…

医者の生活

一族に医者はいない。厳密にいうと祖母の異母弟が某都内ブランド病院名誉院長(?)らしいが1回も会ったことがない。父はサラリーマンである。母方の祖母は看護師、シベリア出兵に参加した父方の曾祖父は獣医将校だった。もっとも勇躍して寒冷の地に乗り込んだ…

菜の花や

菜の花や、月は東に日は西に。春は菜の花、秋には桔梗。さみしいときは僕の好きな菜の花畑で泣いてくれ。葉の花畑に入日うすれ。春の季語として桜もいいがわたしは菜の花を推したい。わたしの勝手な感想にすぎないが、桜は狂気に通ずる。満開の桜を見に行く…

医学をえらんだ君に問う。

医学生へ 医学を選んだ君に問う 医師を目指す君にまず問う。高校時代にどの教科が好きだったか?物理学に魅せられたかもしれない、英語が得意だったかもしれない。わたしは世界史でした。しかし医学が好きだったことはあり得ない。日本国中で医学を教える高…

武田泰淳「異形の者」

武田泰淳(1912~1976)という作家がいる。真冬の北海道の洞窟に閉じ込められた船員同士が人肉食をする「ひかりごけ」など、人間の暗部を描いた作風で知られる。 中学生の時、現代文の教師が「ひかりごけ」は名作だからぜひ読むようにと勧めていて、新潮文庫版…

2021年の抱負

とくにない。2020年は公私いろいろあって、ちょっとやさぐれていた。それゆえ、いま振り返ると極端な煽り芸みたいなことを種々やらかしてしまった。慙愧の念に堪えない。 精神科病院というのは、内科外科の病院にくらべて体の急変が少ない分「まったりとした…